季節の変化が大きい日本において、季節の変わり目で体調を崩す方が多くいらっしゃいます。「気象病」という病名もつけられており、幅広い症状が見られる場合があるため、意外と厄介な病気です。今回は気象病について見ていきましょう。

そもそも気象病とはどんな病気?

気象病は、別名「天気病」と呼ばれることもあります。天気・気候の変動によって起こる何かしらの不調を指します。この不調には身体的なものだけでなく、精神的な不調も含まれます。
よく起こる症状を具体的に列挙すると、めまい、イライラ、偏頭痛、関節痛などです。また、関節リウマチや緊張型頭痛などの持病がある方だと、その痛みがより強くなったりもします。加えて、もともとうつ病などに罹患している方では、より落ち込みが大きくなったりもします。これらの点から、気象病は意外とあなどれないといえます。

気象病になりやすい人の特徴は?

前述した持病に罹患されている方ではなくても、気象病になりやすい方の特徴というのがある程度分かっています。まず性別で考えると、男性よりも、女性の方が気象病になりやすいといわれています。なお、男女問わず、低血圧気味の方、姿勢が悪い方、歯の噛み合わせが悪い方、運動不足の方、座りっぱなしの仕事を長時間行なっている方などが起こりやすいと考えられています。

気象病の原因とは?

耳の一番奥に存在する「内耳(耳が感じた情報を神経組織に伝える機関)」には気圧変化に関するセンサーがあります。そのセンサーが気象病と関係しています。気圧変化を内耳のセンサーが感知した後、前庭神経に興奮が起こり、その結果として自律神経バランスが大きく乱れます。
この時に、交感神経が優位になった場合は、めまいや偏頭痛などが起こり、副交感神経が優位になった場合には眠気やうつ症状などが起こります。生まれつき内耳が敏感な方が気象病になりやすいという遺伝的要因だけでなく、耳関連の疾患に罹患した後に気象病になりやすくなるという環境的要因も関係していると考えられていますが、これらの詳細なメカニズムに関しては今後のさらなる研究が待たれるところです。

気象病の予防法とは?

前述したように、気象病の原因は、自律神経の乱れなので、自律神経を整えるようにすると、予防することができます。具体的に見てみると、睡眠を十分にとる、入浴によって体を温める、ストレッチをするなどです。また、耳を手でつまみながら引っ張ったり、ほぐしたりすることで、耳周辺の血行がよくなり、内耳の状態が良くなるのでオススメといわれています。そして、日頃からストレスの発散をしたりすることも有効です。

漢方薬が有効と考えられている?

気象病の治療においては、痛みを緩和する、うつ症状を改善するなどの対症療法がメインとなる西洋医学に比べて、根本的な原因から対処していく漢方医学が向いていると考えられています。漢方医学では、温度上昇や気候変動において不調が生じる方は、もともと体に湿気が溜まりやすい体質である「水毒」や「水滞」に陥っていると考えます。これらを改善することで、根本的に気象病を治していくことも可能となります。
水の代謝を良くする代表的な漢方薬といえば、「五苓散(ゴレイサン)」が該当します。まずはこれを試すとよいです。また、水の巡りを良くするだけでなく、巡りを改善する際のエネルギーとなる気を補うこともできる「苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)」もおすすめですし、実際によく使われています。
ただし、漢方薬は体質にしっかりと合わないと効果がないため、気象病がひどくてつらい場合には、一度専門の医師や薬剤師がいる漢方外来クリニックや漢方相談薬局に行かれるのがよいでしょう。
持病などはないのに、突然体調を崩すという方の中には、気がつかないうちに気象病になっている方も少なくないと思われます。薬剤師であれば、例えば、最近突然頭痛が起きるなどで鎮痛薬を買いに来た方に積極的にアプローチして、それが気象病に当てはまりそうということなら、その適切な対処法を案内してあげることが求められます。ぜひ気象病について、ご自身でも勉強してみてください。

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